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当院では現代中医学の理論に基づいた脳梗塞・脳出血による後遺症の専門的治療を行っております。

症例紹介 脳出血による運動性麻痺 渡様

渡様の治療風景。写真はすべて当院治療室で撮影しました。写真左:盧華院長 写真下:渡様 写真右:横山鍼灸師

渡様は脳出血を発症されました。退院3日後、両足の運動麻痺が残り歩行困難な状態で、入院先の病院ではリハビリを勧められましたが、リハビリが機能訓練であり脳の神経細胞が根本から治るわけではないと考え、脳の神経細胞から治さないと足の運動麻痺が良くならない。そのためには根本から治すための治療法を優先して受けたいと希望されて当院にご来院。

*初診時の様子*

両手の麻痺はほとんどなく、両足の運動麻痺と痺れが主な症状でした。

まっすぐ歩くことができず、足も上がらない、付き添いがいないと外出することが危険な状態でした。

*当院での治療*

・通院しての鍼灸治療

身体の運動機能障害に対しての運動鍼および感覚機能障害を治すための鍼治療を行いました。また頭鍼や捻鍼(頭鍼回転法)、神経に効果を出すための鍼通電療法も行いました。

上の動画は実際の治療中の様子です。鍼に電気を流すことで運動を促しております。

上の動画は実際の治療中の様子です。捻鍼という手法で頭に施した鍼の効果を上げる目的があります。

鍼通電療法の様子です。

・飲む漢方煎じ薬治療

漢方薬は中国以外日本では当院でしか手に入らないもので、すべてオーダーメイドです。

*治療経過*

まず3週間ほど治療を受けられた後に、付き添いなしでまっすぐに歩くことができるようになりました。車での送迎も必要なくなったため電車で1人で通院できるようになりました。それからさらに1日で2万4千歩も歩くことができました。

ご本人様の感覚ではもともとの麻痺による苦痛が10でしたら1までに下がっていると言われておりました。

渡様はほかの疾患も治療を同時におこなっており、そちらの治療と脳出血後遺症についても更なる改善を目指しております。現在通院治療継続中です。

症例紹介 脳出血による片麻痺(右半身不随) ル様

ル様は脳出血により入院されましたが、その後右半身に麻痺が強く残ってしまい、心配されたご家族様が当院を探されて退院されてすぐに来院されました。

麻痺のため歩行は転倒しないように杖を使用しており、足の感覚の異常もありました。右の腕が上がらず、手の指も握りしめたまま固まって動かせない状態でした。

精神的なショックから不眠、右腕を動かせないことによる肩の痛みがあり、また以前から耳鳴り難聴もありました。

*治療*

飲む漢方煎じ薬

鍼灸治療に加えて運動を促す電気鍼

リハビリ運動療法

治療前の様子 動画は当院受付で撮影しました。

右腕を上げることができない、右手は動かそうとしても指を伸ばしたり曲げたりすることができない。

治療後の様子 動画は当院治療室で撮影しました。

*経過*

まず、比較的症状が軽かった足が上がるようになり、歩行の際に杖を使用しなくても無理なく移動できるようになりました。足の指先の感覚異常についても徐々に改善され電気針の感覚もわかるようになりました。

右肩をゆっくりと上にあげることができるようになり、手の握りしめる動作、開く動作ができるようになりました。

また手の指1本ずつ単独で動かすこと、つまみ動作も可能になりました。

耳の症状と肩の痛み、不眠の治療も同時に行いましたがそれぞれ改善されました。

症例紹介 脳出血による片麻痺(半身不随) 英治様 

左:野上鍼灸師 中央:英治様 右:盧華院長

高血圧20年。三年前に脳出血を起こし、生活に支障がない軽い麻痺残ったままで、その半年後二度目の脳出血を発症。病院に入院治療を受ける。退院後リハビリ専門病院に入院、半年間リハビリしましたが片麻痺(半身麻痺)は変わらず、看護師の娘さんは当院のHPをご覧になって、当院の治療を受けると決心しご来院。遠方だったため当院の近くに引っ越され治療を開始。

ご来院時:車いすでご来院

片麻痺:右半身不随、右半身の完全運動麻痺と完全感覚麻痺。寝返るもできない、お食事歯磨き等もできない、身の回りのことは全部奥様が介護していた。

手の指を含む右上腕は全く動かない、指は硬くなり曲がった状態になり、感覚も全くないです。上腕は全く動かすことができない為、重力に負けて右肩関節は脱臼。右半身は汗でない為体中に熱がこもり、夜寝れない。

運動性失語症、精神的にも不安定で悲観的で怒りっぽく、悲しくなりやすいで泣いたりする。

当院の現代中国医学治療開始:

以下は治療経過の写真です。(ご来院時は精神状態不安定の為、完全麻痺状態の写真はありません)当院の治療進むにつれて、運動麻痺と感覚麻痺は段々良くなり、下記の写真のように上腕と下肢は動きやすくなり、手と足が高く上がっり、動く範囲は大きくなった為、寝返り、おトイレ等もご自身でできるようになり、奥様は介護から解放され、大変喜んでいました。

当院の治療受け半年後:全く動かなかった腕も自分でご飯を食べられる、歯磨きもできる程に回復し、脱臼も治り、手足の感覚も回復しました。全く動かない下肢も京橋の駅から当院まで(約1㎞)ご自分で歩いてこれるようにもなった為、ご本人を含むご家族全員この結果に満足し、当院の治療終了。

当院での治療内容

①鍼灸治療:頭鍼、項鍼、電気鍼、点刺鍼、捻鍼手技

②漢方薬灸(当院オリジナル):漢方外用法、火吸い玉

③飲む漢方治療法(当院オリジナル)

脳梗塞・脳出血の後遺症について

現在、日本の医療機関では脳梗塞・脳出血で壊死してしまった脳細胞を復活させる治療は現在分かっていません。後遺症には、リハビリを中心に治療を行っていきます。しかし、リハビリをするに当たって運動を繰り返して身体の機能回復を目的としている為、心疾患・糖尿病・高血圧といった内科的疾患の患者様にはリハビリによって体調の悪化をさせてはいけない為、リハビリを行うことが出来ません。(リハビリについて)

当院の治療について

西洋医学で行うリハビリは原因そのものを治すのでは無く、現状の身体の機能を最大限に回復させる目的で行いますが、脳に受けたダメージ次第で回復の程度はさまざまです。

上記でも記載したようにリハビリを行うことが出来ない患者様についてはその機能を回復することが出来ない為、身体は衰えていく一方です。

①脳に対する治療法

現代中医学で行う治療の最大の狙いは「脳内の神経細胞の再生と代償機能の促進」です。

脳内の新たなネットワークを形成することで脳出血・脳梗塞によって障害された運動機能・感覚機能を回復させます。

当院の治療につきましても現代中医学の理論に基づいた治療となっており、運動などの激しい負荷を身体に与える事無く後遺症の原因そのものの治療を行うことが出来ます。

下図にて脳細胞の回復を説明していきます。

(左)正常の脳細胞 (右)脳梗塞・脳出血でダメージを受けた脳細胞

上の図は黒い部分が脳細胞ですが、右図は左図に比べて明らかに細胞が萎縮し、細胞の数が減っているのが分かります。

現代中医学で鍼治療をした際の脳細胞の変化を比較して行きます。

(左)脳梗塞・脳出血による被害を受けた脳細胞

(中央)治療を行なわずに経過した脳細胞:さらに細胞が小さくなり、死んだ細胞の数も増えています。

(右)現代中医学の治療で回復した脳細胞:(左)と比較すると明らかに細胞の数が増え、黒い部分が大きくなっていることが分かります。

以上のように脳細胞を再生することで、運動機能の回復のみならず痺れや痛みの改善といった神経の伝達も改善することが出来ます。

②症状に対する治療法

身体の運動機能障害に対して運動鍼や、感覚機能障害に対してのや痛みに対して感覚機能を回復させる鍼治療

③全身治療

全身治療として、経絡・経穴(ツボ)などを使い、当院独自の組み合わせ配穴をすることで本来持つ身体の機能回復力・治癒力を促進する。

④その他

不安、不眠、嚥下障害、高血圧に対しても同時に治療することが可能です。

リハビリについて

Ⅰ.リハビリを行うにあたり運動を行わないほうがよい場合
1)安静時脈拍数 120/分以上
2)拡張期血圧 120以上
3)収縮期血圧 200以上
4)労作性狭心症を現在有するもの
5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの
7)心房細動以外の著しい不整脈
8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの

Ⅱ.途中で運動を中止する場合
1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合
3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合
4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

Ⅲ.次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する
1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合.ただし,2分間の安静で10%以下に戻らぬ場合は、以後の運動は中止するかまたは極めて軽労作のものにきりかえる
2)脈拍数が120/分を越えた場合
3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
4)軽い動悸、息切れを訴えた場合

脳梗塞・脳出血とは?

脳梗塞と脳出血とは、どのような違いがあるのでしょうか。

簡潔に説明しますと、脳出血も脳梗塞も「脳卒中」の種類のうちのひとつです。脳卒中には、「血管が詰まる」ものと、「血管が破れる」ものの2に分かれ、脳梗塞は、前者、脳出血は後者となります。

脳梗塞について

 脳梗塞とは何らかの原因により、脳に栄養を送る血管が封鎖されてしまい脳の細胞が壊死してしまい身体に後遺症として影響を及ぼしてしまいます。

脳梗塞の種類には大きく分けて3種類あります。

①ラクナ梗塞:直径1.5㎝以下の範囲で起こる梗塞で自覚症状がない場合もあります。高血圧などで細い血管におこる動脈硬化が原因となる。

②アテローム血栓性脳梗塞:コレステロールなどが原因で比較的脳の太い血管が動脈硬化を起こした梗塞。糖尿病や生活習慣での不摂生による原因が多い

③心原性脳塞栓症:心臓に出来た血栓(かさぶた)が脳の太い血管に詰まって梗塞を起こす。心房細動を初めとする心臓の病変が原因で起こることが多い。

①、②については血管の内側に変化が起きて脳の栄養を遮断し、脳の細胞が壊死してしまいます。③については大きい血管での梗塞を起こしてしまう為障害の範囲が広くなります。

脳梗塞の後遺症について

脳梗塞の後遺症は「運動障害」「感覚障害」「構音障害」「高次機能障害」などが多くの場合起こりますが、その一部またはすべてが後遺症として残ることがあり、脳梗塞の症状同様に百人百様です。
運動障害

脳の運動を司る部位が損傷されると、日常生活で手足を動かすことが困難になる場合があります。片麻痺や半身麻痺が起こり、手足の動きのコントロールが利かなくなることで、歩いたり、階段を上ったり、箸を持ったりするなど日常生活のさまざまな行動ができにくくなります。また、喉や舌の筋肉に影響が残ると、ろれつが回らなくなったりするなど発声に問題が残ったり、物を飲み込んだりする「嚥下」ができなくなり日常生活に重大な支障をきたすこともあります。

感覚障害

感覚を司る神経は、運動神経と密接な関係があり、片麻痺を起こした場合、同じ側に感覚障がいを起こす場合が多くなります。手足が痺れたり、物に触っても感覚がなかったり、温度を感じなくなるなど感覚が鈍感になったりすることがあります。

構音障害

 喉や舌の筋肉の問題による発声だけでなく、脳の言語を司る部分が損傷すると、言葉や文字の理解ができなくなる場合があり、喋れない、文字が書けないなど、意思の疎通が難しくなることがあります。

高次機能障害

大脳皮質など脳細胞の損傷により、下記の障害が発生することを高次機能障害といいます。

記憶障害
  • 物の置き場所を忘れる。
  • 新しいできごとを覚えられない。
  • 同じことを繰り返し質問する
注意障害
  • ぼんやりしていて、ミスが多い。
  • ふたつのことを同時に行うと混乱する。
  • 作業を長く続けられない。
遂行機能障害
  • 自分で計画を立ててものごとを実行することができない。
  • 人に指示してもらわないと何もできない。
  • 約束の時間に間に合わない。
社会的行動障害
  • 興奮する、暴力を振るう。
  • 思い通りにならないと、大声を出す。
  • 自己中心的になる。

脳出血について

脳出血の原因

もっとも多い脳出血の原因は高血圧といわれてます。

高血圧により、脳の深部に栄養を送るための血管が硬くなり、
そのまま放置することで、血管は弾力を失い、血圧の変化に耐えられなくなります。そして、血圧が上がった時に、血管が破れて出血してしまうのです。

もうひとつの原因は、脳血管の病気です。

硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)や脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)などが挙げられます。

脳出血の種類

どの部位で出血をするかによって、症状や予後が異なります。
被殻出血

脳出血の40~50%と高頻度。
被殻部は運動や感覚だけではなく言語理解や認知などの高次機能を司る神経が通っている部分です。

症状:頭痛、片麻痺、半身感覚障害、顔面神経麻痺が多い。
目が同じ方向を向く共同偏視(下図)を認めることがある。

運動麻痺や感覚麻痺は軽度だが出血が大きく側頭葉まで広がった場合は重度の感覚障害や失語(上手に喋れない)、意識障害を生じることもある。

視床出血

脳出血の30%の頻度。
視床は視床下部とともに間脳の一部で、感覚機能を調整する神経が集まっている場所です。
視床は脳の中央に位置し、出血すると死亡率が高い脳出血の1つです

症状:温冷感覚や接触感覚、痛覚に感覚障害、顔面神経麻痺や片麻痺、頭痛を伴います。両目が鼻先を見るような寄り目のようになる内下方偏位見られます。

視床出血は重度の痺れや神経痛、意識障害、半身麻痺など後遺症が残りやすい脳出血になります。また、麻痺側を中心に激しい痛みを伴うことがあり視床痛と呼ばれています。視床から内包や被殻は近い場所にあるため、出血が大きい場合は運動障害を引き起こす可能性もあります。

皮質下出血

脳出血の10~20%の頻度。
大脳の表面を覆う広範囲な部分を指します。
他の脳出血と同様に高血圧が原因になることもありますが、易出血状態や外傷によっても起こる可能性があります。

症状:皮質下が広範囲なので特徴的な症状は特になく出血部位によってさまざまです。強いてあげるなら、片麻痺、失語、半盲を認める頻度が高いと思われます。偏視による特徴はありません。

小脳出血

脳出血の10%の頻度。
小脳は運動機能を司る神経が集まっている場所です。

症状:回転性のめまいや吐き気、激しい頭痛、歩行障害、起立障害、意識障害を生じます。身体のバランスが悪くなるイメージです。
出血を起こしていない方向へ目が向く健側への共同偏視を認めます。
脳幹に近いので出血が多い場合は、生命の維持が難しくなることもあるので特に呼吸状態に注意が必要です。

脳幹出血(橋出血)

脳出血の10%の頻度。
脳幹とは間脳・中脳・橋・延髄によって構成されており、生命維持に関わる神経が集中している箇所です。
脳幹は運動・感覚神経の他に体温調節や呼吸管理、心臓の運動の指示を出す場所です。

症状:突然の激しい頭痛、眼球運動の障害、めまい、四肢麻痺、外転神経麻痺、痺れ、意識障害、体温調節ができず高熱になるなど。他の脳出血とは異なり症状の種類も多く、急激に発症します。目が全く動かなくなる正中位固定を認めます。

 脳幹出血の中にしゃっくりが止まらなくなるといった症状が稀に出ることがあります。

しゃっくりの原因は、胸とお腹のしきりの役目をしていて呼吸をする際には収縮して息を吸い込めるように

働いている横隔膜が意思とは別にけいれんすることによって起こります。しゃっくりが起こる時、横隔膜は急速にちちんでして肺に入る空気量を増やせるように胸の壁を広げようとします。そして肺に急速に空気を吸い込むようになり、同時に声帯が素早く閉じて「ヒック」というような音を発します。

脳幹梗塞・脳幹出血によるしゃっくり

不自然に続くしゃっくりの多くの原因は「中枢神経」と「抹消神経」に分かれます。

中枢神経の場合、脳幹の1つである「延髄」に脳梗塞・脳出血又は、脳腫瘍などによる刺激が加わることで延髄の中にある呼吸をコントロールする「迷走神経」が刺激され続け、しゃっくりが続くということが起きます。

末梢神経の場合、頚(くび)から出る神経で横隔膜をコントロールする「横隔神経」に圧迫がかかる又は横隔膜自身に何らかの刺激が常にかかり続けていることが考えれます。

しゃっくりに対する当院での治療

当院で継続的に出るしゃっくりを鎮める治療の目的は、

・何らかの原因で刺激を受けて続けている脳の興奮を鎮める

・頚(くび)から出てる横隔膜を支配する「横隔神経」の興奮を鎮める

・ツボを使うことで横隔膜の興奮を鎮める

以上のことを目的に治療を行っていきます。