多系統萎縮症とは

多系統萎縮症とは、30歳以降、多くの場合は40歳以降に発症する、小脳や脳幹などが萎縮する原因不明の難病です。
歩く時のふらつきや、手の震えといったパーキンソン病に似た症状を発症し、男性患者数は、女性患者と比較して約2倍と言われています
症状の出始めは3通りあり、日本で最も頻度が高い小脳症状が目立つ「オリーブ橋小脳萎縮症」、パーキンソン症状のような「線条体黒質変性症」、自律神経の症状が出る「シャイトレーガ―症候群」と呼ばれています。
症状が進行すると3症状が重複し、画像診断においても脳幹と小脳の萎縮、線条体の異常などが表れるようになり、病理組織も共通の所見が得られるため「多系統萎縮症」と呼ばれています。

小脳症状
歩く時のふらつき、転びやすい、ろれつが回りにくいといった小脳の運動失調、協調運動障害、異常眼球運動などがあります

パーキンソン症状
筋肉が硬直して動作が緩慢で関節が動かしにくい、すくみ足といったパーキンソン病に似た症状が表れますが、パーキンソン病の比べ、安静時の手の震えは少なく、症状の進行は早いようです。
発病から5年ほどで車いす使用となり、10年ほどで亡くなることが多いといわれています。
治療としてパーキンソン病の治療薬の経口投与が試みられますが、効果があまりないか、2~3年しか持続しません

自律神経症状
起立時のめまいや、排尿障害(尿閉・尿失禁)、便秘や下痢などの自律神経症状が表れます。
頻度の高い自律神経症状として、インポテンツ(勃起障害)、呼吸障害、発汗障害などがあげられます。さらに「錐体路徴候」、「睡眠時無呼吸症候群」、「呼吸障害」、「嚥下障害」なども
認められます。原因としては、パーキンソン病と同様にアルファシヌクレインというたんぱく質が溜まっていることがわかっていますが、詳しい原因はわかっていません
遺伝子的に多系統萎縮症が引き継がれるということはありませんが、極稀に家族内で複数の患者さんがいる場合があるため研究中です。
西洋医学による「多系統萎縮症」の治療法はなく、主に個々の症状を緩和する、対処療法が行われています。

多系統萎縮症に対する当院の治療法

・運動鍼(足のふらつき 歩行困難改善)
・頭鍼 項鍼(脳機能の回復)
・漢方外用薬(萎縮部分に当て回復を促します)
・オーダーメイド漢方薬
早期治療により、進行を遅らせる・回復を促すことで症状の軽減・生活の質向上が期待できます。